陶磁器展示場

自作の陶磁器をヤフオク等で出品、販売しております。

堅手について 2

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今回作成した堅手も前回と概ね同じコンセプトです。

kirsch.hatenablog.com

ただし、焼き方や灰の処理、土石の精製法の違いなどで微妙な違いが出てきます。

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f:id:Kirsch:20170515123533j:plain玉子手と称される高麗茶碗には、薄灰色の胎に白色の御本などとても淡い色の窯変をおこしているものがあるようです。

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上記の盃は片身替わりが出ています。写真だと見えにくいですが、酸化と還元できれいに分かれており、左が黄みがかっていて、右が灰色です。焼き締まりもはっきり違うので、古色を付けたところ、黄色の部分だけに色が入ります。

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焼成と土の組み合わせによっては殆ど高麗青磁の様相を呈するものもあります。

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堅手茶碗や白磁を目指したであろう雨漏茶碗にはいくつか、とても表情豊かな高台を持つものがあります。焼き締まりが弱いようですが、根津美術館の雨漏茶碗や同じく根津の「蓑虫」などはとても素晴らしい高台です。

一言で岩石といっても砕いて精製したときの可塑性は様々で、処理の仕方によってはとても扱いやすい、しかも完璧に焼結する原料もあります(天草陶石のような)。しかし、実際は白く焼けても可塑性や焼き締りが不十分なものが自然界には大半だと思います。雨漏茶碗はこのような原料でより魅力的な器を作ろうとした精神が生んだものと思っています。

可塑性のない土でも乾燥具合と道具によってはささくれのない正確な高台を削ることは可能ですし(荒い土だと厳しいですが)、むしろ縮緬皺がきれいに出るタイミングは意外とシビアで狙わないと難しいです。李朝の一部の名工は不完全な材料で単純に白磁をなぞることを良しとせず、汚れやすい土の性質や器形にあった削り方を追求したのではないでしょうか。

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堅手の殆どは雑器ですので、傾いた姿で口縁がガタガタなどかなり無造作な器形のものがありますが、にも関わらずそうした器の釉調がまるで高麗青磁のように美しいテクスチャーをもっていたりします。扱いにくい土で正確な器形を実現するには手間がかかりますが、釉薬の出来不出来に関しては手間暇よりもノウハウの方が重要と感じます。青磁のノウハウを知る陶工にとっては量産の器であれ潤いある肌をまとわせる程度のことはお手の物だったのではないでしょうか。

雑器の中にも歴史や当時の人の美観が詰まっていることをしっかりと感じます。李朝以外でこんな美しいアンバランスさのある器はそうはないでしょう。

以上のような美点が少しでも再現できればと思い作成いたしました。ご覧いただきありがとうございました。