陶磁器展示場

陶磁器を作成しています。高橋陽のブログです。

5月21日からの個展

5月21日から愛媛のギャラリーラボで個展を行います。

粉引など粉青沙器、唐津、青瓷を出します。無地唐津は今まで個展の際1、2個出したこともありましたが、無地以外にも絵唐津なども含めてまとまった数出すのは初めてですのでどうかご覧ください。黒唐津も少数出す予定です。禾目がかすかに見えるタイプで、黒高麗などでは禾目のあるタイプよく見ますが黒唐津にもたまにあるようです。ギャラリーラボにそういう黒唐津がありますので、興味のある方は来ていただくともしかしたら鑑賞の機会があるかもしれません。

 

無地唐津は主に錆谷や小森谷の土灰釉を参考にしています。この手の釉薬は別に2つの窯に特徴的なものではなくて似たようなものはかなり多くの窯で見受けられます。こういった釉薬はたしかに魅力的ではありますが、どこが?と問われればなかなか言葉にし難いところがあります。

無理に言葉にしてみれば、ちょうどよい溶け具合のときは灰が多いように見えてはっきりしたゆず肌が現れる程度には粘りを保ち、溶けすぎてガラス状になっても土のガッチリとした感じと相まって軽い感じがせず中身が密に詰まったような印象を受ける、そんな釉薬のように思います。この手の特徴は斑で言えば青い斑点が出るか出ないかといったわかりやすい表徴ではないのでどの程度良さが再現できているか自信を持って言えないところはありますが見ていただければ幸いに思います。

 

今回特に力を入れたのは粉引です。ここ数年雲岱里風の粉引の再現に力を入れてきましたが、肉薄してきたのではないかと思います。今回は特にガラス状につややかに溶けたタイプのものを目指して研究してきました。もちろんこれはただ釉面の起伏なくガラス状に溶けているだけのものではなく、表面になにか薄膜が一枚乗ったような独特の感じを有するものを指しています。

ただし、結局のところ本歌の粉引の魅力といえば染みが作る景色が一番に挙げられますし私もそう思います。他の粉青沙器も釉や造形など素晴らしく魅力的なものはあるにもかかわらず、名声の高さという意味では粉引は最上のものに位置づけられるのはその景色があるからでしょう(希少性というのはあるにせよ…)。

しかし染みがつくる景色と言うのはショートケーキでいえば苺のようなものであって、あれば一番に目立つものですが、だからといってそれだけ出されてもショートケーキとは言えない、そんな関係性にあるように思われます。魅力の土台たる部分を構成しているのは釉や土で、やはりそのくらい粉引を含むそれぞれの粉青沙器の釉薬というのは強烈な魅力を放っていると感じます。

それでそのショートケーキの苺たる染みなのですが、今回の作品は吸水しやすい化粧土を使ってますので何らかの染みができることは請け合いますが、どのような景色になるかまではちょっとわかりませんのでご了承ください。